ロンドングローブ座(Shakespeare’s Globe)は、ロンドンのテムズ川沿いに位置する劇場で、ウィリアム・シェイクスピアの劇団が使用していた歴史的な「オリジナルのグローブ座」を忠実に再現したものです。
その特徴的な円形の野外劇場は、エリザベス朝時代の建築様式を取り入れ、茅葺き屋根と木造の構造が魅力です。
収容人数は約1,500人で、当時の雰囲気をそのまま体感できるよう設計されています。現在も現役の劇場としてシェイクスピア作品を中心に演劇が上演され、訪問者は歴史を学べる展示の観覧や、臨場感あふれる公演を楽しむことができます。
グローブ座への行き方(アクセス)、最寄り駅は?
グローブ座からの最寄り駅はいくつかあります:
・ブラックフライアーズ(Blackfriars)
・サウスワーク(Southwark)
・キャノンストリート駅(Cannon Street)
・ロンドンブリッジ(London Bridge: ロンドン橋)
ブラックフライアーズ駅から(Blackfriars)
私がおすすめする行き方は、ブラックフライアーズ駅からテムズ川沿いを歩くルートです。この道中には数々のロンドンの名所が点在しており、観光を兼ねた散歩が楽しめます。
ブラックフライアーズ駅は、テムズ川を渡るブラックフライアーズ橋の上にプラットフォームが設置されているというユニークな構造を持つ駅です。その特徴的なデザインは、ロンドンの中でもひときわ目を引く存在です。川沿いを歩き始める前に、一度駅のプラットフォームを眺めたり、ここから電車に乗ってみるのもおすすめです。駅を出たら、ブラックフライアーズ橋の下の通路を進みます。
通路を抜けると、川沿いの「Bankside」に出ます。この道をそのまま進み、川沿いをずっと歩き続けます。晴れている日の散歩が特に気持ちよく、ロンドンの魅力を満喫できます。
やがて右手に現れるのが、現代美術館「テートモダン」です。その迫力ある建物は、近代的なロンドンの象徴ともいえる存在で、一見の価値があります。
さらに進むと、映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』に登場した「ミレニアムブリッジ」が見えてきます。この橋は映画の中で「デスイーター」に破壊されるシーンで印象的に描かれた場所です。ミレニアムブリッジの下をくぐり抜けると、間もなくグローブ座が視界に入ってきます。
このまま川沿いをさらに歩き続けると、
・クリンク・ストリート(Clint Street)
・ウィンチェスター・パレス(Winchester Palace)
・バラマーケット(Borough Market)
・ゴールデンヒンジ(Golden Hinge)
・ロンドンブリッジ(London Bridge: ロンドン橋)
といった、魅力的なスポットを見ることができます。
サザーク駅から(Southwalk)
サザーク駅を出たら、「Union Street」を進みます。途中で「Great Guilford」を左折すると、目の前にテートモダン美術館が見えてきます。そこから「Park Street」を右方向へ進みます。
(「Park Street」には、かつてのグローブ座のオリジナルの場所があります(後述しています))
さらに進んで「New Globe Walk」を左折すると、左手にロンドン・シェイクスピア・グローブ座が姿を現します。
キャノンストリート駅から(Cannon Street)
キャノンストリート駅を出たら、ダウゲートヒル(Dowgate Hill)を川の方に向かって歩きます。次にアッパーテムズストリート(Upper Thames Street)を右折し、クィーンストリート(Queen Street)を左折してサザーク橋(Southwark Bridge)を渡ります。
グローブ座は、橋から見て右側の川沿い(テートモダンの近く)に位置しています。歩くルートによっては、橋の上からすでにグローブ座が見えるかもしれません。
橋を渡り終えたら、川沿いをテートモダンの方向へ進みます。途中には案内サインも設置されているはずですので、それを目印に進むとよいでしょう。
チケットの購入方法、当日券はある?
日本の会社を介してツアーを予約する方法のほか、公式ウェブサイトやグローブ座隣のチケット販売所で直接購入することも可能です。
当日券も入手できますが、混雑を避けたい場合は事前予約をおすすめします。
料金、演目は?
ロンドン・グローブ座での観劇料金は、チケットの種類や公演内容によって異なります。
一般的に、座席を予約する場合は6.00~30.00ポンド程度です。
また、「£5ラッシュ」というプログラムを利用すると、立見席のチケットを5ポンドで購入できます。ただし、早い者勝ちなので注意が必要です。
2023年9月のロンドン・グローブ座での公演ラインナップは次のとおりです(最新情報は公式サイトで確認してください):
- お気に召すまま (As You Like It)
- マクベス (Macbeth)
- 十二夜 (Twelfth Night)
- 磔の刑 (Burnt at the Stake)、または、真実のすべて (The Whole of the Truth)
ロンドングローブ座での服装は?
特別な服装の指定はありません。
ただし、屋外での観劇になるため、季節や天候に合わせた服装を選ぶことをおすすめします。
ロンドンパスを使ってツアーに参加する
ロンドン・パスを利用すると、以下の特典を受けられます:
- グローブ座ツアーへの入場
- 劇場でのガイド付きツアー(知識豊富なガイドがグローブ座の歴史や再建、シェイクスピアの時代について解説)
- シェイクスピアのロンドンと元のグローブ座の歴史、再建の過程を紹介する展示の見学
- グローブ座のギフトショップでの10%割引
サム・ワナメイカーによって忠実に再現されたグローブ座の内部を見学したり、本物の舞台を間近で体験することができます。
ただし、劇場は実際に使用されているため、見学時間がスケジュールによって異なる場合や、リハーサル中の場面に出くわすことも。
事前予約は必須ではありませんが、混雑時は次の空き時間まで待たされることもあります。スムーズに入場したい場合は、タイムスロット予約がおすすめです。
オリジナルのグローブ座はどこに?
「グローブ座」は、1997年にオープンしたエリザベス1世の時代を彷彿とさせる円形劇場で、シェイクスピアが活動していた当時のグローブ劇場を精密に再現しています。金属製のねじなどは一切使用されておらず、手作りのレンガやオーク材など、伝統的な材料と技法で建設されています。特に茅葺き屋根が特徴的です。
この茅葺き屋根は、1666年のロンドン大火以降、ロンドンで初めて使用されたものです。火災を防ぐための規制が厳しくなったため、こうした屋根を建てるには特別な許可が必要だったため時間がかかったそうです。
オリジナルのグローブ座は1599年に、シェイクスピアと彼の劇団によって建設されました。これに先立ち、彼らは以前使用していたショーディッチの劇場から一部の材料を再利用し、テムズ川南岸のサザーク地区に新しい劇場を建設しました。この劇場は、シェイクスピアの劇団「ロード・チェンバレンズ・メン(Lord Chamberlain’s Men)」のために利用され、木造の円形設計が特徴でした。観客は立見やベンチ席で演劇を鑑賞し、中央の舞台は屋根のある周囲の席から見られる構造でした。
しかし、1613年、シェイクスピアの「ヘンリー8世」の上演中、舞台装置に使用されていた大砲の火花が茅葺き屋根に引火し、劇場は焼失しました。その後、1614年に同じ場所で再建されましたが、1642年、ピューリタンによる娯楽禁止令が発令され、最終的には劇場は取り壊されました。
1997年、アメリカの俳優・監督であるサム・ワナメイカーの熱心な取り組みにより、オリジナルの場所から少し離れた場所にグローブ座が再建され公開されました。オリジナルの位置での再建が難しかったのは、周辺に保護指定されたジョージア時代の建物があったり、すでに敷設されていた道路が影響していたためといわれています。
オリジナルの位置は「Park Street」にあります。ここには、その歴史的な意義を記念する銘板と説明パネルが設置されています。