ハリー・ポッターファンなら、ロンドンを訪れる機会があればハリー・ポッターの撮影地を巡りたいと思うのは自然なことです。ハリー・ポッターシリーズはイギリス各地で撮影されましたが、ロンドンにもキングスクロス駅、動物園、ダイアゴン横丁のモデルとなった商店街、橋、電話ボックスなど、多くのロケ地があります。
ロンドン観光で1日自由時間があるなら多くのスポットを巡ることができると思います。
今回は(というより今更ながら笑)、実際にそれらのスポットを見てみたくて回ってみました。ロンドンの美しい街並みを歩きながら、ハリー・ポッターの世界観を感じるのは楽しい体験でした。映画のシーンが次々と思い出され、ドキドキやハラハラした感覚もよみがえってきたりもしました。
キングスクロス駅(King’s Cross Station)
キングスクロス駅は、ホグワーツ特急に乗車するため生徒たちが集まった場所です。魔法の世界へ行くためのプラットフォーム9¾が有名です。
実際に映画で使用された場所は4番ホームと5番ホームの間でしたが、ファンが集まりすぎると実際の乗客に迷惑がかかってしまうため、駅ではファンのためにコンコースエリアに特別なスポット「プラットフォーム9¾」を設置しています。9番線と10番線に近い場所にあり、いつも列ができているのですぐにわかると思います。
セント・パンクラス・ルネッサンス・ホテル(St. Pancras Renaissance Hotel)
セントパンクラス駅に隣接し、キングスクロス駅のすぐ隣に位置するとても便利なホテルです。この壮麗な建物は、「ハリー・ポッターと秘密の部屋(Harry Potter and the Chamber of Secrets)」でキングスクロス駅の外観として登場します。
ハリーとロンが9と3/4番線からホグワーツ特急に乗り遅れてしまい、空飛ぶフォード・アングリアに乗ってホグワーツに向かうシーンが印象的でしたね!
キングスクロス駅がすぐ横にあるにもかかわらず、映画製作者たちは、このゴシック様式のセント・パンクラス・ルネッサンス・ホテルの方が、より魔法の世界に近いイメージの外観だと考えて撮影に使用したそうです。
駅にしてはとても壮麗だなと思っていましたが、ホテルだと知るとその豪華さにも納得がいきます。
ピカデリー・サーカス(Piccadilly Circus)
ピカデリー・サーカスは、「ハリー・ポッターと死の秘宝 パート1(Harry Potter and the Deathly Hallows Part 1)」で登場しました。
ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人がビルとフルールの結婚式から瞬間移動で逃げてきた際、この場所に現れます。到着した瞬間、彼らは大通りで危うくバスにひかれそうになります。また、3人がピカデリー・サーカスから延びるシャフツベリー・アベニューを歩きながら次の行き先を模索するというシーンもあります。
グレート・スコットランド・ヤード(Great Scotland Yard)
グレート・スコットランド・ヤードは、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(Harry Potter and the Order of the Phoenix)」および「ハリー・ポッターと死の秘宝 パート1(Harry Potter and the Deathly Hallows Part 1)」の中で、ハリー・ポッターとアーサー・ウィーズリー(ロンの父)が魔法省(the Ministry of Magic)に入るための入り口として登場しました。
このシーンでは赤い電話ボックスがあり、2人はそれを使って魔法省の地下に移動しますが、この電話ボックスは実際には存在しません。
ミレニアム・ブリッジ(Millennium Bridge)
「ハリー・ポッターと謎のプリンス(Harry Potter and the Half-Blood Prince)」では、デス・イーターたちが杖職人オリバンダーを誘拐した後、ミレニアム・ブリッジを破壊するシーンがあります。
近くのオフィスで不穏な空気を感じた人々が窓の外を見つめると、恐怖に包まれたマグルたちが橋の上で逃げまどい、必死に手すりにしがみついている姿が映し出されます。橋は次第にゆがみ、ねじれ、最終的にテムズ川に崩れ落ちていきます。
当時は「セントポール大聖堂とテート・モダン美術館の間を結ぶ便利な橋なのに・・・なくなったら不便だなぁ」と思ってしまいました笑。
レデンホール・マーケット(Leadenhall Market)
レデンホール・マーケットは、シティ・オブ・ロンドン(金融街)に位置する歴史的な市場です。
「ハリー・ポッターと賢者の石(Harry Potter and the Philosopher’s Stone)」で、ハリーとハグリッドがダイアゴン横丁を歩くシーンや、魔法界とつながる場所として知られる「漏れ鍋(Leaky Cauldron)」が撮影されました。
魔法学校への入学準備の買い物をするハリーは、リストをみながら「これらのものがロンドンで買えるの?」と、買い物に付き添うハグリッドに質問します。ハグリッドは「どこに行けばいいかさえ知っているならね(手に入るよ)」と答えます。
このマーケットは、ハリー・ポッターファンの間で聖地巡礼の名所となっていますが、ファンでなくても訪れる価値があります。美しいガラスの屋根や石畳の歩道、華やかな装飾が施されたビクトリア朝様式のデザインが特徴的で、建物自体が見事です。
現在のレデンホール・マーケットの建物は、建築家サー・ホレス・ジョーンズによって設計され、1881年に建てられました。ジョーンズは、サー・ジョン・ウルフ・バリーとともに、1894年に完成したタワーブリッジの設計にも携わったことでも知られています。
ランベス・ブリッジ(Lambeth Bridge)
ランベス・ブリッジは「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)」で登場しました。
ハリーは青いダブルデッカー(二階建てバス)に乗り込み、目的地である濡れ鍋(Leaky Cauldron)を目指します。バスは急ブレーキや急発進を繰り返したり、対向してくる二台のダブルデッカーの間を巧みにすり抜けたりしながらロンドン市内を走り回ります。しかしその姿は周囲のマグルたちには全く見えていません。
バスは夜のランベスブリッジを渡り、橋の向こうにはウェストミンスターの美しい景色が広がっていました。目的地の濡れ鍋の入り口はボローマーケット(Borough Market)で撮影されました(後述)。
バスが目的地に到着すると、バスは前に停まっていた車に接触し、その瞬間に車のアラームが鳴り出します。イギリスでは、車のアラームが鳴ってしまうということは珍しくありません笑。そのような場面に出くわして「青いダブルデッカーでも到着したんだろうか」と思うファンもいるかもしれません。ハリー・ポッターのシリーズは回を追うごとに緊張感が増していくので、このようなユニークなシーンがあると安心した記憶があります。
セント・ポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral)
セント・ポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral)は、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)」で、トレローニー教授の占い教室へと続く階段として登場します。
授業が終わり、ハリーとロンが美しいらせん階段を下りていると、ハリーが階段に落ちていた水晶の球を見つけ、それをトレローニー教授の元へ返しに行きます。
ロンドン動物園(London Zoo)
ロンドン動物園(London Zoo)の爬虫類館(Reptile House)は、「ハリー・ポッターと賢者の石(Harry Potter and the Philosopher’s Stone)」に登場します。
ハリーがまだダーズリー家で暮らしていた頃、ダドリーの誕生日にダーズリー一家と一緒にロンドン動物園を訪れます。ハリーがガラスの向こうのニシキヘビに話しかけると、驚いたことに蛇が返事をします。さらにはガラスが突然消えて蛇が脱走し、逆にダドリーが蛇の囲いの中に入ってしまうという出来事が起こりました。ハリーは蛇と会話ができる「蛇語:パーセルトン(Parseltongue)」を使えることに初めて気づく重要な場面の1つです。
ボローマーケット(Borough Market)
ボローマーケット(Borough Market)は、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)」で、濡れ鍋(Leaky Cauldron)の入り口の外観撮影が行われた場所です。
ハリーを乗せたナイトバスが濡れ鍋の前に停車する瞬間、店の前に停まっていた車に接触し、その車のアラームが鳴り始めます。そしてバスから降りたハリーは濡れ鍋の中に入っていきます。
濡れ鍋の入り口は、レデンホールマーケットにあるあの角のドアだったのでは?と思いましたが、ハリー・ポッターの映画では、より魔法の雰囲気を演出するために、ロケ地や細部が微妙に変えられることがよくあるそうです。私ぐらいの視聴者でもその違いに気づくぐらいなので、ファンの中で気づいた人は大勢だと思います。ロケ地の正確さよりも、ストーリーやキャラクターの方が重要なのかもしれません。
番外編として
レスタースクエア(Leicester Square)
レスタースクエア(Leicester Square)には「Scenes in the Square」として、過去100年間にわたる人気映画キャラクターの像が飾られています。
ハリー・ポッターが「Nimbus 2000」にまたがっている像や、「メリー・ポピンズ(Mary Poppins)」、「パディントン(Paddington)」「ミスタービーン(Mr. Bean)」など、ロンドンにゆかりのあるキャラクターが展示されています。これらの像は魅力的なフォトスポットとなっています。
グッドウィンズ・コート(Goodwin’s Court)
グッドウィンズ・コートは、ハリー・ポッターシリーズと関連づけられることが多いようですが、実際の撮影地ではありません。この狭い通りには歴史的なジョージアン建築が並んでおり、多くのファンはここをノクターン横丁(Knockturn Alley)を思わせる場所として楽しんでいます。写真撮影をしている姿も多く見受けられました。
セシル・コート(Cecil Court)
セシル・コートもハリー・ポッター映画の実際の撮影場所ではありませんが、その独特な雰囲気から関連づけられているようです。この狭い通りには古書店や風変わりなブティックが立ち並び、古き良き雰囲気が漂っています。中にはドラゴンの血を売っているショップも存在すると言われています。
おわりに:聖地巡礼のモデルコース?
聖地巡礼のモデルコースについて考えてみました。私は歩くのが好きで数時間は平気で歩いてしまうので徒歩での移動を含んでいます。
ハリー・ポッターにゆかりのある場所を巡るなら、この順番がいいかなと思います(もちろん他にも効率的なルートはあるはずです)。ロンドン動物園は含めていません。
番号が付いているものは見るスポット、それ以外は移動の行程です。
1. セント・パンクラス・ルネッサンス・ホテル(St. Pancras Renaissance Hotel)で外観を確認
2. キングスクロス駅(King’s Cross Station)で「9と3/4プラットフォーム」を訪れる(おそらく列に並ぶ必要があり)
次に、キングスクロス駅からピカデリー線(Piccadilly Line)を利用し、ピカデリーサーカス駅(Piccadilly Circus)で下車。
3. ピカデリーサーカスで街並みを楽しむ
ピカデリーサーカスからベイカールー線(Bakerloo Line)に乗り、チャリングクロス駅(Charing Cross Station)で下車するか、ナショナルギャラリー(National Gallery)とトラファルガー広場(Trafalgar Square)の横を通り徒歩でチャリングクロス駅へ向かいます。
4. The Great Scotland Yard(グレート・スコットランド・ヤード)で赤い電話ボックスがあった通りをチェック
チャリングクロス駅からベイカールー線でランベス・ノース駅(Lambeth North)で下車。
5. Lambeth Bridge(ランベス・ブリッジ)で橋を散策
その後、ウォータールー駅(Waterloo Station)まで徒歩(約18分)し、ジュビリー線(Jubilee Line)利用でロンドン・ブリッジ駅(London Bridge)で下車。ボローマーケット(Borough Market)方面を徒歩で。
6. ボローマーケット(Borough Market)で濡れ鍋の入り口を見る
続いて、テート・モダン(Tate Modern)へ徒歩で向かいます。
7. ミレニアムブリッジ(Millennium Bridge)で橋を散策(テート・モダンの前に位置)
聖ポール大聖堂へ向かいます。
8. 聖ポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral)で螺旋階段(The Geometric Staircase)を見る/登る
レデンホールマーケットへ徒歩で向かいます。
9. レデンホールマーケット(Leadenhall Market)でハリーとハグリッドが歩いた商店街と濡れ鍋の入り口を訪れます。
キングスクロス駅周辺をスタート地点にしていますが、レデンホールマーケット周辺にもいくつかの地下鉄駅があるため、他の場所からスタートしても一回りできると思います。
この行程で全ての場所を訪れるとなると約5時間はかかると思います。待ち時間や移動時間は状況によって変動する可能性があります。特に観光シーズンや週末は、観光地や公共交通機関が混雑することがあるため、聖地巡礼をするなら1日自由行動ができる日がおすすめです。