テート・モダンはロンドンのランドマークの1つであり、テムズ川南岸に位置しています。世界で最も訪問者の多い現代美術館の一つで、その建物自体も大きな魅力です。
もとは戦後のエネルギー需要に応えるために建設されたバンクサイド発電所で、1947年に建築家ジャイルズ・ギルバート・スコットが設計したもの。スコットはイギリス内の赤電話のデザインも手掛けた人物でもあります。彼の祖父のジョージ・ギルバート・スコットは、セント・パンクラス駅のミッドランド・グランド・ホテルやアルバート記念碑などの設計を手掛けました。
石油価格の高騰により1981年にバンクサイド発電所は閉鎖され、1994年にテート・ギャラリー館長ニコラス・セロタが現代美術展示の場として選び2000年に開館しました。2016年にはスイッチハウス(現ブラヴァトニック・ビル(Blavatnik Building)))として新棟が完成。地下の3基の石油タンクスペースのうち2基のスペースはライブパフォーマンスアートのスペースとして、残りの1基は補助スペースとして利用されています。
10階建てのブラヴァトニック・ビルは、穴あきレンガの外壁で覆われており、昼は光を取り入れ、夜は内部の光を外に漏らし幻想的です。最上階には360度の展望ギャラリーがあり内部の階段は彫刻のような美しさです。建築自体が芸術作品の一部のようなので、ぜひそちらもチェックしてみてください。

テート・モダンでの見どころ
テート・モダンで観ておきたい作品をご紹介します。人気のあるものや私が観たものなどをもとにしていますが、展示物は定期的に変更になります。「実際に行ってみたらちょっと違っていた」ということもあるかもしれません。
アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)
もともとは白黒のマリリン・モンローの作品で、数年後にカラーのものが現れたことでそれらを合わせて1つの作品になったそうです。

サルバドール・ダリ(Salvador Dalí)
「ロブスター・テレフォン」は、日常的な電話とロブスターの奇妙な組み合わせを通じて無意識の欲望や性的な暗喩を表現しているそうです。

Lobster Telephone

マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)
よくテレビ番組で目にすることがある作品ですね。「Fountain」は、マルセル・デュシャンによる1917年の作品であり、白い陶器の便器に「R. Mutt」と署名された、芸術の定義に挑戦したレディメイド作品。テート・モダンでは1964年のレプリカが展示されています。


マーク・ロスコ(Mark Rothko)
1958年制作、ニューヨークのフォーシーズンズ・レストラン用に構想された「シーグラム壁画」。専用の「ロスコ・ルーム」で暗い照明の中、まるで色彩と空間へと没入していくかのようです。


シウド・メイレレス(Cildo Meireles)
「Babel」は、最大約800台のアナログラジオを塔状に積み上げ、各々異なる局にチューニングされて小音量で流れています。情報過多とコミュニケーションの断絶を象徴しているそうです。青い部屋の中でとても不思議な感覚を体験できます。



その他







テート・モダンの建築
螺旋階段
ブラヴァトニック・ビル(旧Switch House)の螺旋階段。打ち放しコンクリートで美しい曲線が特徴です。


タンクス
旧燃料タンクを転用したメディア・パフォーマンス専用展示空間。コンクリートの大型空間でインスタレーションやライブイベントに使用されています。


タービンホール
かつて発電機を収めていた広大な空間を活かし、大規模インスタレーションの展示に利用。産業遺構と現代アートが融合した壮観な空間といえます。



過去の作品
過去に展示されていたもので個人的に惹かれたものです。何度もテート・モダンに行っていますが、写真に収めていたのは以下のみです。
2019年

Ellen Gallagherの作品が気になって写真を撮っていました笑。




2014年






おわりに
2つのビルがあるので見ごたえがありますが、移動が少し面倒に感じることもあります。そのため、片方のビルで見忘れがないようにしておくことがポイントだと思います。
現代アートには「???」と思う作品も少なくないかもしれません。
2001年に初めてテート・モダンを訪れたとき、カール・アンドレの「Equivalent VIII」が展示されていました。1966年の作品で、120個の耐火レンガを「6×10」で二段に積み重ねたミニマル彫刻だそうです。
それを見た親戚の子が「Take one(1個とっちゃえ)」と冗談を言っていたのを今でも思い出します。
こんな作品です:
