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ロイヤルポンプルーム博物館で学ぶ!ハロゲートの温泉の歴史

ハロゲート ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館

ハロゲートでは1571年に最初の鉱泉が発見され、その後、鉄分や硫黄を含む井戸が次々と見つかりました。
その中でも特に象徴的なのが「ロイヤル・ポンプ・ルーム(Royal Pump Room)」で、美しい八角形のポンプルームとガラス張りの付属棟が特徴です。

かつて「オールド・サルファー・ウェル(Old Sulphur Well)」と呼ばれていたこの井戸は、ヨーロッパ内でも強力な硫黄を含むことで知られていました。現在、この建物は「ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館」として公開されており、ハロゲートの豊かな温泉文化と歴史を伝えています。

ハロゲートを訪れたらぜひ立ち寄ってみて欲しいスポットです!

目次

ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館とは?

ハロゲート ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館
ハロゲート ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館

ロイヤル・ポンプ・ルームは、1842年に建てられた美しいドーム型の八角形の建物で、ハロゲート出身の建築家アイザック・トーマス・シャットによって設計されました。

それ以前、この場所は「オールド・サルファー・ウェル(Old Sulphur Well)」として知られており、強い硫黄含有量で広く認知されていましたが、当時の設備は簡素で、天候や悪意のある人々の影響を受けやすい状態でした。

ハロゲートの温泉の人気が高まるにつれ、より快適で機能的な施設が求められるようになり、1842年に「ロイヤル・ポンプ・ルーム」が建設されました。これにより、その名声はさらに高まり、ハロゲートの温泉街の中心的な観光名所となりました。

この施設は主に鉱泉水を飲む人々のために作られたもので、硫黄水は飲みにくいものでしたが、その治療効果を求めて訪れる人々は絶えませんでした。ハロゲートがスパリゾートとして特に人気を集めていた時代には、1日に2,000人もの訪問者があったといわれています。

1913年には、増加する飲用客を収容するため、ポンプルームにガラス張りの美しい付属棟が建設され、現在ではこれがメインエントランスとなっています。建設時には、硫黄水が湧き出る地層を傷つけないよう、特別な軽量素材が慎重に使用されました。

ロイヤル・ポンプ・ルームは1953年に博物館へと改装され、ハロゲートの豊かな温泉の歴史や遺産、古いハロゲートの生活、子供向けの展示などを紹介しています。館内のガラス床からは、元の井戸と硫黄水を観察でき、一見コンクリートのように見える硫黄水の表面には、時おり泡が立つ様子も観察できます。

1日2,000人の来訪者の理由は「悪臭」?

ハロゲート ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館
付属棟(annex)横の通り「Crown Place」は、どの季節も美しいです

かつてこのポンプルームが「オールド・サルファー・ウェル」と呼ばれていた理由は、この井戸が非常に強い硫黄含有量を持っていたからです。この井戸の存在は海外でも知られていました。

ディーン博士が1626年の研究で「ハロゲートには『悪臭を放つ井戸』が3つあり、その1つが世界的に有名なオールド・サルファー・ウェルである」と記しています。
日本の温泉といえば、湯煙の中で体を芯まで温めてリラックスするイメージが強いですが、イギリスでは治療目的での利用が多く、入浴だけでなく飲用としても使われていました。特に朝には、1杯の鉱泉水を飲むために施設を訪れる人が多かったと伝えられています。

しかし「その味は非常にまずかった」とも。
何となく想像できますよね・・・。

17~18世紀にイギリス国内を広く旅した初の女性旅行者であるセリア・ファインズは、グランドツアーの際にハロゲートを訪れ、この古い硫黄井戸について「硫黄や悪臭を放つ噴出物があり、非常に強烈で不快なので、馬を井戸に近づけることさえできなかった。味と臭いは硫黄のようだが、腐肉のようなさらに不快な要素がある」と記録しています。

また、「ロビンソン・クルーソー」の作者ダニエル・デフォーも、1717年にハロゲートを訪れた際に「硫黄水は水晶のように澄んでいるが、悪臭がして吐き気を催すため、飲む際には鼻をつまむ必要がある」、「ここで多くの人々がこの水を飲んでいることに驚いた」と述べました。

ショート博士の研究によると「当時のハロゲートには20軒以上の浴場があり、人々がこれらの水を飲むのは、悪臭や腐敗を取り除くためであり、例えば痒み、かさぶた、化膿性皮膚炎などに悩む多くの人々が水を飲んだり、患部を洗ったりすることで癒される」と記されています。
このように、ハロゲートでは鉱泉水の飲用や入浴が確立された治療法となっていました。

不快な味やにおいにも関わらず、硫黄井戸の飲用者は増加し続け、1842年には3,774人だったのが、1867年には11,626人、1925年には259,000人に達しました。特に20世紀初頭には、シーズンのピーク時に毎朝2,000人ほどの訪問者が訪れるほど人気を集めていました。

ハロゲート ロイヤル・ポンプ・ルーム・博物館
古いポストカードより「The sulphur Well, Harrogate」 大賑わいだった頃、おそらく朝の風景でしょう。

ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館では温泉水を飲むことができる?

ハロゲート ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館
博物館の外にある蛇口。その昔、誰もが硫黄水の薬効を享受できるように設置されたもの。 出てこないこともしばしば。

ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館では、もし興味があるなら(そして勇気があるなら!)鉱泉水の試飲ができます。ハロゲートの温泉の歴史に触れる、ユニークな体験が味わえます。

私が博物館を訪れた際、試飲しようかどうか迷いましたが、勇気が出ず結局やめてしまいました。同行した人が試飲して、苦々しい表情で「非常に強い味」と感想を述べていましたが、今思うと「もったいないことをした」と少し後悔しています。次回訪れるときには、必ず挑戦しようと思っています。

鉱泉水の試飲は入場料に含まれています。
入場料は大人4ポンド、子供3ポンドです(2024年8月現在)。

せっかく訪れたなら、試飲して過去にタイムスリップする冒険に出かけましょう笑!

ロイヤルポンプルーム博物館の周辺の見どころ

ハロゲート ロイヤル・ポンプ・ルーム博物館
1960年代、交通渋滞解消のためポンプルームを移動して大通りを建設する計画があったが住民の反対で中止に。迂回する不便はあるものの美しいポンプルームと通りは残りました。

ヴァリーガーデンズ(Valley Gardens)
ヴァリーガーデンズ(バレーガーデンズ)は、ハロゲート市内にある美しい公園で、豊かな自然と多彩な花々が楽しめます。数々の賞を受賞しており、園内にはいくつかの鉱泉も点在しています。かつてはロイヤル・ポンプ・ルームとガーデン内の「ボグスフィールド」が小道で繋がっていました。

ロイヤル・ホール(Royal Hall)
Royal Hallは、1903年に建てられた壮麗なコンサートホールで、エドワード朝の建築様式が特徴です。地元の文化イベントやコンサート、劇場公演が開催される場所で、ハロゲートの文化的中心地となっています。その豪華な内装と歴史的な雰囲気が、訪れる人々を魅了します。

ベティーズ(Betty’s)
ベティーズは、1919年創業のハロゲートを代表するティールームです。クラシックなイングリッシュティーを楽しむのに最適な場所で、美味しいスコーンやケーキ、サンドイッチを提供しています。特にアフタヌーンティーが人気で、訪れる人々に優雅なひとときを提供します。また、テイラーズ・オブ・ハロゲートはベティーズのブランドです。

ファラズ・オブ・ハロゲート(Farrah’s of Harrogate)
Farrahは、1840年創業の老舗キャンディーショップで、特に「ハロゲート・トフィー」が有名です。このトフィーは、伝統的な製法で作られ、ハロゲートの名物として愛されています。
象徴的な青と銀のエンボス加工の缶に入っており、お土産におすすめです。

ハロゲート・ターキッシュバス(Harrogate Turkish Baths)
ハロゲート・ターキッシュバスは、1897年にオープンした歴史的なスパ施設です。豪華なヴィクトリア様式の建物で、モザイクタイルや大理石の内装が特徴です。現代でも営業しており、リラクゼーションと健康を目的とした伝統的なターキッシュバスを体験できます。行くときには水着が必要ですのでお忘れなく!

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